深刻なネットゲーム依存を探る 『ネトゲ廃人』著者・芦崎治さん
「ネトゲ廃人」という言葉がある。「ネットゲーム廃人」の略だという。韓国や中国、ロシアなどではこうしたオンラインゲーム依存の中毒患者が続出、社会問題にもなっていて、日本でも、ネットゲーム依存が深刻になっている。
『ネトゲ廃人』(リーダーズノート)を出版した著者の芦崎治さん(55)は「身近にゲームに夢中になるあまりの引きこもりの例が複数あり、実態はどうなっているのかと取材を始めた。そのときには、すでに『ネトゲ廃人』という言葉はあった」と、話す。
「取材に応じてくれたのはネトゲ廃人の卒業生かもしれない。もっと深刻な人たちは自宅から外にも出ない」という。
「そうした人たちには、小太りで、内気で、アニメが好きだというイメージがあったが、違った。なかでは30代の女性が多かった。主婦が多かったのも意外だった」と、取材後の感想を語る。
「廃人」とは衝撃的な言葉だが、「ゲーマーのなかでは『あいつはもう廃だから』と、差別的に使われている」と、芦崎さんは言う。
ネットゲーム依存に関してはあまり知られていないのが現実だ。取材の過程でもリアルの現実とゲームの世界のバーチャルな世界の区別が分からなくなるような会話があり、困ったという。ただ、ネットゲームの世界は必ずしも悪いことばかりではなく、「体の不自由な人にとっては、ネットゲームの世界は自由に動ける世界で、そこに生きがいを求めている人もいることも分かった」。
今後、国内でもさらに大きな社会問題になる可能性を秘めていると指摘、「彼らを、現実社会で使えないのか(雇用できないのか)」というのが芦崎さんが彼らに会った率直な感想だという。
(松垣透)