「毒」がなくてはつまらない  「蜜」がなくては諭しめない  「骨」がなくては意味がない
「毒」がなくては詰まらない 「蜜」がなくては愉しめない 「骨」がなくては意味がない
LEADERS NOTE
「毒」がなくては詰まらない 「蜜」がなくては愉しめない 「骨」がなくては意味がない

【東京新聞 朝刊〈こちら特報部〉より】


田代まさしさんへの応援本出版

覚せい剤取締法違反などで服役した「マーシー」こと、タレントの田代まさしさん(53)への応援メッセージ集「帰ってこいマーシー」(リーダーズノート)が7月31日、出版された。歌手の鈴木雅之さんら70人以上の著名人と、1000人を超えるファンが熱いエールを送っている。マーシーに根強い支持者がいるのは、なぜ? (岩岡千景) 出版に先立ち同月二十九日、東京・渋谷で会見が開かれた。田代さんは白で統一したパナマ帽とジャケットで登場。二年前、出所直後に行った会見を自虐的に語り、報道陣やファンら約百五十人を冒頭から笑いで沸かせた。 「あの時は家も借りられず、仕事もなかったけれど、少しずつ仕事が来るようになった。今は仕事を積み重ねて、支えてくれた人に応えたい」 田代さんはそう話し、ネットテレビ出演や音楽活動などの近況を報告。タレント布川敏和さんらとのトークも行った。

2度目の薬物所持 でも1000人エール

田代さんは二〇〇一年、覚せい剤取締法違反(使用、所持)などの罪に問われ、有罪判決を受けた。さらに、執行猶予中の〇四年九月、再び大麻、覚せい剤取締法違反(いずれも所持)などで逮捕され、三年六月の実刑判決を受けて服役。〇八年六月に出所した。テレビ局の自主規制などで、現在も地上波テレビ番組などへの本格復帰は果たせていない。 応援本には、作詞家の秋元康さんやイラストレーターのリリー・フランキーさんらの各界著名人がメッセージを寄せた。「ラッツ&スター」などのバンド仲間の鈴木雅之さんは「もう誰も悲しませちゃいけない」としかり、「俺が必ず側にいる」と激励の言葉をつづった。 タレントの小野ヤスシさんは、世間を再三騒がせて「復帰などすべきじゃないと思った」と心情を吐露。再び罪を犯せば本にメッセージを寄せた人も同罪になると「心して生きて」と諭す。 ファンからは「バカ殿が大好きでした」「ラッツの田代さんは私の青春そのもの」と振り返り、「もう一度みたい」と本格復帰を望む声が並ぶ。 田代さんの人気が衰えないのはなぜか。「世間は彼を『また事件を起こす』『信用できない』とみるが、長年付き合っている人やファンは彼の誠実さや繊細さ、多彩な才能など真逆の側面もみている」と話すのは応援本を出したリーダーズノートの木村浩一郎編集長。 布川さんは「ファッションも音楽もギャグも、天才的なセンスが魅力。田代さんが作詞した恋愛の歌は、女心をわかっているようでさりげなく、カッコイイ」という。 吉本興業元常務でフリープロデューサーの木村政雄さんは「かつて番組に出演してもらったが、彼は気配り屋で気持ちのいい人。『俺が俺が』と目立ちたがり屋が多い芸能界では貴重な存在で愛される」と分析。だが「気の弱さも感じた。一人より誰かと組む方がいいし、テレビ界にまた戻るとストレスがたまるのでは」とも。

「すごくまじめ」 功罪どちらも
薬物依存症からの回復を支援する民間団体「日本ダルク」の近藤恒夫代表も、「イベントで会ったが、彼はすごくまじめで極度に緊張し、物事をまともに受け止める。その性格はオーバーリアクション的な芸風となって人気だが、ストレスをためやすく薬物に再び手を染める危険が残る」と同様の見方をする。 その上で「依存症から離脱した当事者グループに参加し、訓練をしながら復帰を。薬物で罪を犯した芸能人はバッシングと排除で終わりがち。薬物の危険性を伝え、離脱すれば社会復帰できることを示すモデルとなってほしい」と助言する。 ネットなどを通じてメッセージを呼びかけたところ、千通以上が集まった。 「普通の仕事をしろ」「復帰は早い」という声もあったが、「社会的制裁を十分受けているので前を向いて下さい」など応援する声が多かった。「人は誘惑に打ち克ち、見事に更生できるということを体現してほしい」というメッセージもあった。"
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