「毒」がなくてはつまらない  「蜜」がなくては諭しめない  「骨」がなくては意味がない
「毒」がなくては詰まらない 「蜜」がなくては愉しめない 「骨」がなくては意味がない
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土佐、ちりがみ交換一代記

まいどお騒がせいたします

著者/前田薫, 編集/依光隆明
16歳で土佐の山奥を飛び出し、無手勝流で作ったちり紙交換会社を高知県トップクラスのリサイクル会社に育て上げる男のドラマ
価格:    1,400円 +税
頁数:    232ページ
判型:    四六版 並製
ISBN:     978-4903722818

一般書店のほか、以下のオンライン書店でも取り扱いがあります。

書籍内容

土佐原人、ここにあり。16歳で土佐の山奥を飛び出し、無手勝流で作ったちり紙交換会社を高知県トップクラスのリサイクル会社に育て上げる男のドラマ。
家は貧しかった。いじめられたこともある。学校よりも山で遊ぶ方が面白かったので、小中学校にはあまり行ってない。中卒後に県内外を渡り歩き、就いた仕事は土木、建設、造船、キャバレー、製鉄所、自動車会社などなど十数種。転々とさまざまな職を経験しながら、行き着いたのがちり紙交換だった。
時代は高度成長から低成長へと移り変わっていった。「製紙業界は生死業界」と忠告された通り、経営は厳しかった。世の中は末端から見た方がよく見える。産業の末端に位置するちり紙交換は、好不況の波をもろにかぶるのだ。一難去ればまた一難。ときに頭を下げ、ときにケンカをしながら明るく、前向きに乗り超えていく。読むだけで明るくなれる、読むビタミン剤。

「序」より かといって面白くない人生かといえばそんなことはない。20近くの職業を経験し、さまざまな人に会った。有り金が60円しかないこともあったし、部屋いっぱいに1万円札をばらまき、その上でのたうち回って喜んだこともある。猛烈な恋愛も、死のうと思うほど猛烈な恋愛もした。書くのは苦手なので、この本は聞き書きの形で作ってもらった。人並みくらいには面白いちり紙交換屋の半生に付き合っていただければ幸いである。

著者紹介

著者
前田 薫( まえだ・かおる)
1948年高知県香美郡土佐山田町(現香美市)生まれ。山田中学校を卒業後、県内外の土木建設現場や農機具会社、造船所、キャバレー、製鉄所、自動車メーカーなどで働く。1977年、高知に戻って大前田商店の名でちりがみ交換をスタート。併せて焼き芋の販売も手がけ、軽ワゴン車を改造して県外でも売り歩く。1980年、古紙問屋に脱皮。 1990年、南国市岡豊町に有限会社大前田商店を設立する。1998年の高知豪雨で会社が水没したものの、復活。その後もさまざまな苦難を乗り越え、大前田商店を県内トップクラスのリサイクル会社に育て上げる。趣味は茶道。好きなものは孫と酒。

取材・構成
依光隆明( よりみつ・たかあき)
1957年高知市生まれ。1981年高知新聞に入り、2001年高知県庁の不正融資を 暴く「県闇融資」取材班代表として日本新聞協会賞を受賞。社会部長を経て 2008年朝日新聞に移り、特別報道部長など。2012年福島第一原発事故に焦点 を当てた連載企画「プロメテウスの罠」の取材班代表で再び日本新聞協会賞 を受賞。共著に『黒い陽炎―県闇融資究明の記録』(高知新聞社)、『プロメテ ウスの罠』(学研パブリッシング)、『「知」の挑戦本と新聞の大学I』(集英社 新書)、『レクチャー現代ジャーナリズム』(早稲田大学出版部)などがある。

  • 【2021/01/10】依光隆明氏(朝日新聞諏訪支局)によるopinion
    『地方を食い散らすと言ったら言い過ぎか ー長野のメガソーラーに植民地構造がほの見えた』(ここ
書評
  • 【2020.10.10】『まいどお騒がせいたします―土佐、ちりがみ交換一代記―』に関係する記事が、「高知新聞社」に掲載されました。(ここ

2020年10月10日 高知新聞社
書評の写真2

無一文から年商10億円に迫る大手企業に 大前田商店社長が自叙伝

紙産業の周辺を駆け抜ける
 無一文で古紙回収を始め、高知県内大手のリサイクル会社「大前田商店」(南国市岡豊町)を育てた前田薫社長(71)が、自叙伝「まいどお騒がせいたします―土佐、ちりがみ交換一代記―」(リーダーズノート出版)をこのほど出版した。浮き沈みの激しい紙産業の周辺を全力で駆け抜けた波瀾(はらん)万丈の人生を、素朴な土佐弁でつづっている。

 前田さんは旧香美郡土佐山田町の農家の長男に生まれた。中学を出ると、建設現場や自動車工場など20近くの職を転々と。28歳で古紙回収を始め、1990年に大前田商店を設立。現在は年商10億円に迫る企業となった。

 自叙伝は、人生の転機となった大失恋の話から。広島にいた27歳の時、結婚を誓った女性の父親に「お前とうちでは家の格式が違う」とののしられ、破局した。

 「今は一文無し。だけど今に見ておれ。自分の力で稼いでやる」と奮起。高知に戻り、昼は古紙回収、夜はリヤカーを引いて焼き芋を売り歩き、業績を伸ばしていった。

 自宅床に「1万円札をばらまいてのたうち回って喜んだ」かと思うと、また無一文に。1998年の高知豪雨での会社水没や、リーマンショック後の古紙価格の暴落など、次々と襲う受難を持ち前の才覚と行動力で乗り切る姿が活写されている。

 前田さんは「マイナスが大きいほど、プラスも大きくなる。ゼロからでも努力次第で道は開ける。そのお手本を残して死ねたら最高やね」と笑う。「今苦しい思いをしゆう人に『自分もやれる』って勇気づける一助になれば」

 前田さんの語りを、朝日新聞記者の依光隆明氏=元高知新聞社会部長=が編集した。232ページ。税抜き1400円。県内書店で販売中。(宮内萌子)

LEADERS NOTE
「毒」がなくては詰まらない 「蜜」がなくては愉しめない 「骨」がなくては意味がない